燃える聖夜の人形劇

はじめに

クトゥルフ神話TRPGのオリジナルシナリオとなります。
2017年に身内向けに描いたシナリオのため、処理や辻褄が緩いところがあります。
全部ひっくるめて許していただける方は楽しんでください。

更新情報

探索者について

共通の友人である【来栖あんな(NPC)】が登場するため、探索者は近しい年齢のほうが良い。
20歳前後くらいかしら。全員顔見知りが望ましい。

背景

19世紀半ばに作られた美しいフランス人形・クリスは、長い時間を生きているうちに心を持つようになり、人間になりたいと思うようになった。
ある年のクリスマスシーズン、サンタさん(ニャルラトテップ)が強大な魔力を与え、人間の姿・来栖あんな(くりすあんな)と記憶を改変した人間の友達(探索者)を贈る。
世界の歪は彼女に似合わない黒いブレスレッドによって成り立っていた。
人間の姿と友達を手に入れ幸せを感じていた来栖あんなだったが、ニャルラトテップにより作られた命を快く思っていないクトゥグアに目をつけられてしまう。
もしも巨大な燃える塊が訪れれば、来栖あんなや探索者だけでなく世界が危険にさらされるだろう。
もしかしたらすべて、ニャルラトテップの自作自演なのかもしれない。

【来栖あんな】

フランス人形に心が宿り、人間の姿を得た少女。
徐々に状況が悪化していくが、それでもクリスマスパーティーに参加すれば、来栖あんなの好感度が大幅UP!
参加してあげたくなるような、純粋な女の子のRPを心得る。

開幕/大通り

クリスマスも間近に迫った12月半ばのある日。
探索者達と【来栖あんな】は明日の夜に迫ったクリスマスパーティーの買い物に出かけている。一通り買い物が終わって大通りを歩いていると、来栖あんなが話しかけてくる。

「いよいよ明日がクリスマスパーティーだね!」
「わたし、ずっと楽しみにしてたの!」

「みんな、サンタさんにお願いした?」
「わたしはしたよ!わたしね、サンタさんに会ったことあるの!」
「サンタさんはわたしを幸せにしてくれた、魔法使いなんだよ!」

しばらく話をしていると、突然後方にある大きなクリスマスツリーが燃え上がる。
突然のことに驚きSANc1/1d4
燃えているツリーを眺めているようなら、火の玉が探索者の方向に飛んでくる。
<回避>耐久値0/1d3
来栖あんなは自動失敗であり、火の玉を避けきれずに腕に当たってしまう。
<応急手当>を使う者がいるなら<目星>自動成功
「彼女には不似合いの、黒いブレスレッドが目に留まった」
また、代表者の<幸運>成功で被害者なし、失敗で1d4人が巻き込まれる。
人が燃えている姿を見てSANc1/1d3

<目星>
ツリーを包む炎の中に、明確な殺意を持って探索者達のほうを見つめている目があることに気付く。
炎が目を持つ異様な光景を見てSANc1d4/1d6

しばらくすると炎の一部が空へ向かって飛んでいく。
なにかしたいことがあったらしても良いが特にない。

1日目/夜

それぞれ自宅の窓から<目星>どの星よりも明るい何かが強く光っている。
もっと見続けるなら<アイデア>昼間の炎が飛んで行った方角だ。
<天文学>あんな場所に星はなかった気がする。

2日目

※このあとから、定期的に<アイデア>「12月にしては暑いと感じる」を行う。
天気予報では今週はずっと寒いだろうと。
ニュースで昨日のクリスマスツリー炎上事件についてやっている。

「昨日、大通りのクリスマスツリーが突然燃え上がる事件が起こりました」

ネットで調べることもできる。
<コンピューター>
炎は少しおかしく、水をかけなければ絶対に消えることはなかった。
<知識/2>or<物理学>or<科学>
水でなくとも、砂をかけるなどして酸素を奪えば火は消えるはず。

<目星/2>明るい時間なので見つけにくいが、昨日の夜と同じ方角に明るい何かが見える。昨日の夜より大きく見える気がする。
<天文学>近づいてきており、そのスピードは明らかに速い。
<天文学/2>明日の夜には衝突するのではないか。
<アイデア/2>12月なのに少し暑い気がする。

図書館

受付の近くにはフランス人形が飾られている。
Q, なぜフランス人形が?
A, 私が持ってきた。フランス人形って実はルネサンス期のイタリアが発祥なんです。調べてみると面白いですよ。

<図書館>
「フランス人形の歴史」「生命の創造」「かみさまたち(絵本)」

フランス人形の歴史
源流はルネサンス期にさかのぼるとされる。
15世紀のイタリアで優秀な彫刻家兼人形師により優れた人形が製作され、それがフランスにも波及して、貴族女性の衣服を宣伝するための等身大の人形が作られた。
いわばマネキンのようなものであるが、これが後のフランス人形につながったとされる。
もっとも、当時はこうした手の込んだ人形は上流階級のもので、一般庶民の子供の玩具として広まったのは19世紀半ば以降である。
頭部が陶磁器で作られた少女形の人形である。これが本来の意味でのフランス人形で、従って収集家や研究者などはもっぱらこれをフランス人形と称する。
また、当時のフランス人形の写真も残っているようだ。
<写真>and<アイデア>
来栖あんなにそっくりな人形の写真を見つける。
写真の横には「一般普及したフランス人形のクリス」と書かれている。

生命の創造
長い時間を生きた物には心が宿り、いずれは命を欲するようになる。
強大な魔力を与えれば偽りの命が宿ることもあるが、それほどの魔力を持つ者など、認知しえる範囲では存在しないだろう。
また、偽りの命を与えたとしても、それを良しとしない者もおり、そういった者は容赦なく命を剥奪しようとする。
しかしそれを恨んではいけない。なぜならその命は存在して良いものではなく、世界の誤植であるのだから。
彼らはその存在さえ消してしまえば満足するはずだ。
かみさまたち
あるところに 土のかみさまと 火のかみさまが いました。
土のかみさまは たのしいことが だいすきで
いろんな ものを つくって あそんでいました。
しかし 火のかみさまは こわすことしか できず
なんでも つくれる 土のかみさまに しっとを していました。
ある日 土のかみさまが おもちゃを つくると 火のかみさまは それをこわそうと
土のかみさまの おうちごと もやしてしまいました。
それから ふたりのかみさまは おおげんか。
ふたりが なかよしに なる日は ありませんでした。
<目星>
出版社や作者などの情報が一切書かれていない。
最後のページに一枚の紙切れが挟んである。

<ギリシャ語> 【××××の招来/退散】
この生き物を招来、または退散させるためには、フォーマルハウトが地平線上にある時、呪文を三度唱え、魔力を消費しなければならない。(MP28)
消費する魔力は大勢で好きなだけ出すことができるが、そのためには全員が呪文を知っていなければならない。
ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ ふぉまるはうと んがあ・ぐあ なふるたぐん いあ! くとぅぐあ!
【KP情報】
条件が揃っていない時に招来、または退散させることもできるが、その場合は大勢で魔力を出し合うことはできない。

おぞましき呪文を知ってしまった探索者はSANc1d6/1d10 クトゥルフ神話技能+3%
<天文学>or<図書館>
フォーマルハウトは9~11月でないと見ることができない

【来栖あんな】宅

クリスマスパーティーのため集合。豪邸だがひとり暮らし。使っている部屋も少なそうだ。

「みんな入って!頑張って飾りつけしたの!」

部屋に通されると、そこは折り紙で作った輪っかで装飾されている。
テーブルの上にはケーキと料理。昨日みんなで買ったもの。

「わたし、みんなでケーキ食べるのが夢だったの!いますごく幸せ!」

楽しそうなクリスマスパーティーが始まる。
来栖あんなに昨日のクリスマスツリー炎上事件について話しても話を逸らされる。

来栖あんなに気付かれずに彼女の部屋までたどり着くと探索可。

中には机、ベッド、タンス、本棚がある。

机の上には万年筆一本のみしか置いておらず、引き出しが二段ある。
一段目は空。二段目には紙切れが二枚入っている。

1枚目には教科書に書いてあるような、整った文字が並んでいる。
「これはみんなを幸せにできる、たった一度きりの魔法だよ」
その先には見たこともない文字が並べられている。
<クトゥルフ神話>
可愛いお人形さんへ魔法のプレゼント
ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ ふぉまるはうと んがあ・ぐあ なふるたぐん いあ! くとぅぐあ!
※読んでしまったらSANc1d6/1d10。読もうと文字を見続けたらSANc1d3/1d6。

2枚目には拙い文字で書かれたアルファベットが並んでいる。
<フランス語>「わたしのたいせつなともだち」

タンス
一番下の段には、まるで人形が着るようなのような可愛らしい服が数着入っているが、着た様子はない。
上から三段目にはいつも着ているであろう服が数着入っている(冬服のみ)。
一番下の段をよく調べるor《目星/4》
服の下に一枚の羊皮紙が挟まっている。

羊皮紙には<ギリシャ語>で
【ALTER WEATHER(天候を変える)】
大量の魔力と1の正気度を消費することにより、天候を大幅に変えることができる。
この呪文に使う魔力は大勢で好きなだけ出し合うことができるが、そのためには全員が呪文を知っていなければならない。
また、この呪文の効果は約2時間しか継続しない。

裏には「彼女は魔力でできている」と書かれている。

本棚
ほとんど何も置いてなく、一冊のアルバムが入っているのみである。
アルバムの表紙を見ると探索者達と同じ学校の卒業アルバムだとわかる。
中を開くと、学校での思い出が写真に収められている。
<目星>and<アイデア>
来栖あんなの写真が一枚もない。
<アイデア>そういえば、来栖あんなはいつから友達だったっけ?

終幕

「焼き尽くす殺意」BADEND/ロスト
条件:クトゥグアが現れ街を焼き尽くす。
徐々に近づいていた巨大な何かは、ついに確認できる範囲まで来ていた。
それは、巨大な燃える塊であり、あの日感じた殺意を含む目でこちらを見つめている。SANc1d6/1d20+5
近づくにつれ熱さは増し、大火災となった街は崩落していく。
探索者達もすべてを焼き尽くす炎に包まれ、すべてが終わった時には灰となり果てていた。

「世界の誤植」NORMALEND
条件:来栖あんなを殺す。
来栖あんなを殺すと彼女の身体にひびが入り、まるで陶磁器のように砕けた。
彼女の腕には不似合いであった黒いブレスレッドが弾け飛び、中から不気味な光の玉が現れた。
その光は巨大な何かの方向へ飛んでいき、やがて見えなくなる。

<目星/2>「近づいていた巨大な何かが遠ざかっているように見えた」
日に日にそれは小さく見えるようになり、やがて完全に見えることはなくなった。
こうして訪れうる最悪の事態は、ひとりの少女の命と引き換えに防がれたのであった。

「魔法使い」TRUEEND
条件:来栖あんなの好感度が高い/来栖あんなが退散の呪文を唱える
探索者達が最悪の事態を前に諦めていたその時、来栖あんなが退散の詠唱を始める。

おぞましき発音を伴い、言葉は繰り返される。

詠唱が終わると同時に、彼女の腕にあった黒いブレスレッドが光を放ち、砕け散った。
光は巨大な何かの方向へ飛び、門を創造してそれを吸い込んでいく。
やがてそれの姿が完全に見えなくなると、門は閉じられた。
こうして起こりうる最悪の事態は、ひとりの少女の心を犠牲に防がれたのだった。
周囲に来栖あんなの姿はなく、なぜかフランス人形が落ちていた。

呪文【天候を変える】

 現在の天候:⑶曇り  ⑵そよ風 ⑴乾燥 9℃
 暴雨の条件:⑸厚い雲 ⑶突風  ⑸大雨 →必要MPは70

 魔力を使用し天候を操ると、今まで穏やかであった空が崩れ、暴雨が降り始める。
 <目星/4>
 「雲で覆われていてよく見えないが、近づいていた巨大な何かが遠ざかって行くように見える」
 それは徐々に小さく見えるようになり、やがて完全に見えることはなくなった。
 こうして訪れうる最悪の事態は、探索者達と来栖あんなによって阻止されたのであった。
 来栖あんなは「お友達でいてくれて、ありがとう。ごめんね」と言い、探索者達の前から姿を消そうとする。

「受け入れた世界」HAPPYEND
条件:呪文【天候を変える】を唱える/来栖あんなを受け入れる
探索者達が来栖あんなを引き留め、「それでも友達だよ」等の発言をした場合、絆は続くだろう。

「拒まれた人形」TRUEBADEND
条件:呪文【天候を変える】を唱える/来栖あんなを受け入れない
後日、彼女の家を訪れると、そこは廃墟となっており、中には誰もいなかった。
鍵はかかっておらず、中に入ると陶磁器が砕けたような破片と、あの黒いブレスレッドの欠片が落ちているだけだった。

おわりに

「突然クリスマスツリーが燃え上がるシナリオが書きたい」という動機で書き始めました。
彼女の結末を決めたのはニャルラトホテプか彼女自身か、どちらでしょうか。
最期まで人形だったのか、ご自由に意味づけしてください。
辻褄が合わないところや多少強引なところがありますが、ご自由に改変していただいて構いません。
当時のシナリオを引張り出して多少校正しただけなので、わかりにくいところも多々あると思いますが、この物語を紡いでいただければ幸いです。
よいクリスマスを。